「ステイク・ランド 戦いの旅路」男たちの築く"杭の王国"【75点】
バンパイアがはびこる世界を舞台に、安住の地を求めて旅を続ける人々の姿を描き、トロント国際映画祭ミッドナイト・マッドネス部門で最高賞を受賞したサバイバルホラー。バンパイアの蔓延によって都市が壊滅し、秩序が崩壊した世界。バンパイアに両親を殺されてしまった少年マーティンは、ミスターと呼ばれるバンパイアハンターの男に救われる。ミスターと一緒に行動することになったマーティンは、バンパイアが存在しないという北の聖域ニューエデンを目指して旅に出る。「ネズミゾンビ」の監督ジム・ミックルと主演ニック・ダミチが再タッグを組み、共同で脚本も手がけた。
※映画.comより引用
個人的満足度:75点
※ここからネタバレあり感想
@tos
— 秋野クレ@映画感想 (@october31_2400) 2017年11月22日
「ステイク・ランド 戦いの旅路」観ました。
ゾンビ系ヴァンパイアが跋扈する荒廃したアメリカを舞台に、"ミスター"と呼ばれるナイスガイと、彼に師事する少年"マーティン"の旅路を描くホラー・アクション。
約90分と短めながら内容は濃密。
— 秋野クレ@映画感想 (@october31_2400) 2017年11月22日
旅の中での出会いと別れ、そしてヴァンパイアとの戦いをテンポ良く描き視聴者を飽きさせない。
銃だけでなく杭やナイフ、弓など原始的な武器を駆使した泥臭いヴァンパイア・ハントシーンは血の匂いを感じられるほど生々しい。
ミスターは素性こそ語られないものの、その眼差しは強く優しい。彼はマーティンに荒廃した世界での生き残り方を教え、マーティンを一人前の大人へと鍛え上げていく。
— 秋野クレ@映画感想 (@october31_2400) 2017年11月22日
「過去は今の役に立たない」と彼は説くが、その思想はマーティンの中で「未来は過去より明るい」といった形で息づく。
二人は道中で老いたシスター、若い娘(ベル)、軍人の男を拾い疑似家族をつくる。
— 秋野クレ@映画感想 (@october31_2400) 2017年11月22日
マーティンはベルに好意を抱くが、彼女はすでに妊娠していた。故にベルはマーティンの恋人とはならず、マーティンは空き家で見つけたエロティックなトランプを代替品として持ち歩く。
だが結局シスター、軍人、そしてベルは旅の途中でヴァンパイアに殺され、マーティンとミスターはまた二人きりになる。
— 秋野クレ@映画感想 (@october31_2400) 2017年11月22日
そこで出てくるのが喫茶店の娘ペギーだ。彼女は若く美しく、そして妊娠しているわけでもない。マーティンとペギーは自然に惹かれ合うこととなる。
マーティンはペギーのため、死してなお彼女につきまとっていた元同級生のヴァンパイアを殺害する。
— 秋野クレ@映画感想 (@october31_2400) 2017年11月22日
その様子を陰から見届けたミスターは静かに去り、マーティンはペギーを連れてニューエデンへと向かうことになる……という〆。
これはマーティンの成長物語だ。
— 秋野クレ@映画感想 (@october31_2400) 2017年11月22日
ヴァンパイアによって家族を喪ったマーティンは、ミスターという父、シスターという母、軍人という友人、そしてベルという憧れの異性、そしてペギーという恋人と出会った。
だが友人と母と憧れの異性は死に、父は姿を消す。疑似家族たちの死と失踪はマーティンの独り立ちを意味する。彼が独り立ちできる人間になったからこそ、物語から家族、そして自分の恋人ではない異性が消えた。
— 秋野クレ@映画感想 (@october31_2400) 2017年11月22日
マーティンの成長を確信したからこそ、ミスターは自ら姿を消したのだ。
「ステイク・ランド(杭の国)」というタイトル。
— 秋野クレ@映画感想 (@october31_2400) 2017年11月22日
これは杭で戦わねばならない荒れ果てたアメリカ、人里を示すべく打たれた看板、そしてミスターやマーティンが杭で切り開いた旅路を意味する。
杭で切り開いた旅路、それは戦いの旅路で築いた疑似家族。寝泊まりする車を国土とした彼らの王国(ランド)。
— 秋野クレ@映画感想 (@october31_2400) 2017年11月22日
マーティンはミスターから扱いを習った杭を握り、家族を率いる父として、一人の男としてステイク・ランドを導く立場へと成長したのだ。